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?アフリカンシクリッド飼育とドーベルマン&ウィペットとの日常です。

八百比丘尼 Ⅲ

八百比丘尼(やおびくに、はっぴゃくびくに)は、日本のほとんど全国に分布している伝説。地方により細かな部分は異なるが、大筋では以下の通り。


若狭の国のとある漁村の庄屋の家で、浜で拾ったという人魚の肉が振舞われた。村人たちは人魚の肉を食べれば永遠の命と若さが手に入ることは知っていたが、やはり不気味なためこっそりと話し合い、食べた振りをして懐に入れ、帰り道に捨ててしまった。

だが、一人だけ話を聞いていなかった者がおり、それが八百比丘尼の父だった。

父がこっそり隠して置いた人魚の肉を、娘が盗み食いしてしまう。娘はそのまま、十代の美しさを保ったまま何百年も生きた。だが、結婚しても必ず夫に先立たれてしまい、父も年老いて死んでしまった。終いには村の人々に疎まれて尼となり、国中を周って貧しい人々を助けたが、最後には世を儚んで岩窟に消えた。


八百比丘尼の伝承は日本各地にあるが、中でも岐阜県下呂市馬瀬中切(旧益田郡馬瀬村中切)に伝承される八百比丘尼物語は「浦島太郎」と「八百比丘尼」が混ざった話として存在し、全国的に稀である。


京都府綾部市福井県大飯郡おおい町の県境には、この八百比丘尼がこの峠を越えて福井県小浜市に至ったという伝承のある尼来峠という峠がある。

『康富記』には、15世紀中頃に白比丘尼という200余歳の白髪の尼(13世紀生まれの尼)が若狭国から上洛し、見世物として料金を取った記述があるが、『臥雲日件録』では白比丘尼八百比丘尼と同じであると解されている。ただし、この老尼は八百比丘尼伝説を利用した芸能者だったと考えられている。

当時から八百比丘尼の伝説は尼によって布教活動に利用されており、こうした伝説を利用する女性も少なくなかった一例である。