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?アフリカンシクリッド飼育とドーベルマン&ウィペットとの日常です。

今も残る因習

奈良県吉野郡吉野町国栖地区

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この地区は、犬を飼わない事を暗黙の了解にしている地域のようです。

飼わない理由は、その地区の人々が犬嫌いと言うわけではなく、下記のような理由だと言われています。

大海人皇子天武天皇)といえば、天智天皇の後継をめぐる問題で吉野に隠棲。その後、天智の子大友皇子と争った壬申の乱(672年)に勝利し、飛鳥浄御原宮で即位したことで知られる。

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犬を飼わない村という民話がある。これが国栖のこと。

大海人皇子が敵に追われ、吉野川に沿って逃げてこられたとき、其の時に窪垣内集落で渡しをしていた老夫婦が、舟をひっくり返して皇子を中にかくまったそうです。敵が連れていた犬が舟の周りでにおいをかぎ出し、皇子が見つかりそうになったため、翁が赤い石を投げてその犬を殺した。皇子は事なきを得たということで、後に飛鳥浄見原に構えた際、印を持って国栖の翁がやってきたという。犬を飼う、飼わないとは、鉱山師の一群を思わせる。

また、「赤い石」は丹沙の石を思わせる。丹生の民であったようだ。

大海人皇子の決起後に辿った道筋は中央構造線に沿って伊勢まで行き、美濃から伊吹方面へ来ている。武器となる金属の産地を押さえているのだ。

浄見原神社は、吉野川北岸の切り立った岸壁上の岸壁の隙間に鎮座、いかにも古い時代からの祭祀の場を思わせる。この辺りの神社に狛犬がないのは、上記民話によるもの。

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以来、この地区で犬を飼うのはタブーになった。


「ところで、犬を飼うとどうなるのですか?」
「災いが起こります」

70~80代の住民3人に聞いたところ、だれもが「飼っていた家が火事に遭ったのを、実際に知っている」と証言した。それも数件あったということです。

約80戸からなる窪垣内集落は、谷崎潤一郎の『吉野葛』にも登場する紙漉きの里として知られる。国の「選定保存技術保持者」の方も幼少期、祖父から「犬は飼ってはいけない。病魔に侵されたり、火の気が出たりする」と絶えず言い聞かされたそうです。


岐阜県郡上市美並村粥川地区は鰻を食べない村、新潟県佐渡群加茂村、両津市近くの羽黒神社氏子は鮑を食べない...

日本各地には、現在でも古い因習に囚われている地区がまだまだたくさん点在しているようです。