マキノサニービーチ知内浜オートキャンプ場
マキノサニービーチ知内浜オートキャンプ場
ここは我が家の裏ボスだった、リリー(Mダックス)の故郷でもあります。
〈知内浜オートキャンプ場にて、ジジ&ビショップ〉
犬(ペット)の遊泳が県の条例で禁止されている琵琶湖ですが、この知内浜には犬用ビーチがあり、犬達の遊泳が許されています。また、湖岸道路を挟み大きなドッグランが隣接されたキャンプ場でもあり、決まって月一で出かける場所でした。
名古屋からは、高速は使わず走ります。
途中、東軍徳川家康と西軍石田三成が闘った古戦場、豪雪で有名な関ヶ原を掠めながら、百名山でもある薬草でよく知られた伊吹山の麓の広域農道を木之本へ向けてひた走ります。
〈伊吹山〉
木之本から、北国街道を北進するとやはりいにしえの合戦の地であった賎ヶ岳が琵琶湖を隔てています。
そして、その北側に位置する余呉湖にでます。
〈賎ヶ岳から余呉湖を望む〉
【余呉湖】
三方を賎ヶ岳、大岩山、行市山に囲まれた余呉湖は、その澄み切った穏やかな湖面から、別名鏡湖とも呼ばれている。水上勉の小説「湖の琴」の舞台としても有名になったが、観光地としても俗化されることなく、今も素朴な静けさの漂う湖です。
余呉湖湖畔のシンボル的風景には、天女が衣を掛けたという衣掛柳があります。
【賎ヶ岳】
標高421m 滋賀県
1583(天正11)年4月、織田家重の家臣柴田勝家と羽柴秀吉は賎ヶ岳で合戦。大垣城にいた秀吉は柴田軍の攻撃を知って近江へ取って返し、大勝を得た。秀吉方の武勲を上げた七人(福島正則、加藤清正ら)は「賤ヶ岳の七本槍」と呼ばれた。
琵琶湖湖北を舐めるように進み、道の駅あぢかまの里と道の駅追坂峠をやり過ごせば、ほどなくして知内浜に到着です。
マキノサニービーチ知内浜オートキャンプ場は、キャンプ場内を知内川が流れています。
9月10月になれば、この知内川を鮎やビワマスが産卵のために遡上してきます。
鮎は産卵を終えると死んでしまうため、死んだ鮎の腐敗臭でこの時期はキャンプどころではないほどになります。
また、その鮎を鷺や鵜が狙うために、さながらヒッチコックの映画「鳥」のような光景にもなっています。
鮎の産卵が終わっても、11月頃まではビワマスの産卵シーズンになり、やはり知内川をビワマスが遡上してくることになります。
鮎の産卵期も、ビワマスの産卵期も当然禁漁で、「禁漁」と書かれた幟をたくさん立てて地元漁協の方が監視しています。
ビワマスの場合には、鮎の時のような激しい腐敗臭はありませんが、鮎の時同様に鳥の数はものすごいです。
彼らも生きていかなければならないので、必死なんでしょう。
某年晩秋、いつものように知内浜でのキャンプです。
その早朝のこと、ものすごい爆裂音で目を覚まします。
いったい何事なのか?
外に出ると、漁協関係者の方達なのでしょう。ビワマスを鳥から守るために、空砲を打ち鳴らしていました。
漁協の方達からすれば、自分達の生活がかかっているわけですから、鳥達にビワマスを食べられしまっては死活問題なのでしょう。
きっと保護政策もされ、種の存続に多大な費用を投じていることもわかります。
それでも、平日とはいえここはキャンプ場内で、客もいるわけですから…。
もう少し何とかならないものなんでしょうか?
鳥達が餌の確保にやって来るのは、早朝からだということもよく理解できるんですけどね。
ビワマスや鮎だけではなく、キャンプに来る客や観光客も県や地域にお金を落とし、その県や地域を潤しているのではないでしょうか?
そして、鳥達にも言い分はあるでしょう。
鳥達だけではなく、鹿や熊、猿や猪など野生で生きるすべての動物達は、例外なく住処を追われてしまい、餌の調達のためにリスクを覚悟しながら人里までやって来るのでしょう。
彼らの住処が安住で、その近場で餌の調達が可能ならば、彼らとて何もリスクを覚悟し人家近くまでやって来る必要はなくなるでしょう。
琵琶湖に浮かぶ竹生島には、鵜の大群が無数に営巣しています。そのために、ほとんどの木々が立ち枯れてしまっています。糞害や景観的な問題など、多々いろいろな弊害も起きていると聞いてもいます。
でも、だからと言って排除だけすれば良いのでしょうか?巣を追われた鵜は、また違う新たな場所で営巣するでしょう。
山から下りてくる鹿や熊、猿や猪は、人が作った自然界にはない美味しい作物などを口にして、その味を覚え、それが簡単に手に入ることを学習してしまえば、何度でも人里にやって来ることになるのでしょう。
そしてそれは、代々受け継がれていくのでしょう。
西濃から飛騨、美濃地方には推定約100頭ほどの月の輪熊が生息しているのだとか。100頭も熊が生息しているのならば、排除して人に危害が及ばないようにという案もあるとか?
しかし生物学者からは「西濃から飛騨、美濃地方という広い範囲内での100頭という月の輪熊の頭数は、絶滅危惧種に指定しなければならないほどで、この広い範囲内で雌雄が出会い交配できる可能性は極めて低く、これでは種の存続が危ぶまれると考えるべき」という見解を出しているそうです。
日常から離れてキャンプ旅に来る度に、自然に抱かれながらいろいろなことを考えさせられます。
キャンピングカーを使い、整備された場所で行うオートキャンプなのですから、決して大自然の中にいるわけではないのですが…。
自然の一端を間借りしながらキャンプをしていると、自然やそこで暮らす生き物達と上手く共存していく方法はないものかな?と…。
今、自分にできることは何かないのかな?と深く考えることがあります。
ゆっくりと朝日が昇り、鳶が優雅に大空を巡っています。
強者どもの夢の跡である古戦場跡を横目にみながら辿り着いたキャンプ場で、古来より続く長い地球の営みを奥琵琶湖に来る度に自分自身の肌で感じながら、まるで時間が止まってしまったかのような瞬間を体験しています。
もっともっと生き物達に優しくなれたならと感慨深く感じる場所が、この奥琵琶湖知内浜キャンプ場となっています。
〈知内浜キャンプ場からの朝日〉