?星?月?太陽

?アフリカンシクリッド飼育とドーベルマン&ウィペットとの日常です。

ドーベルマンのスタンダード

1899年、アポルダ市において開催されたドッグ・ショーで、ドーベルマンが初めて出陣された、そのときのジャッジのベルタ氏は、次のようにコメントを残している。

ドーベルマンはまだ荒々しい犬である。重い顎、広すぎて『フランス式』フロントをしている。被毛が長過ぎて、波打っており、特に首と腹においてそうだ。多くの出陣犬があまりに重々しく、まるでロットワイラー種のようだ。(出陣された)多くからは、ドーベルマンの血統は統一されておらず、ひとつの種とはとても思えなかった。大変鋭敏でタン色のマーキング、白い斑点のある胸、白いつま先をしていた。特に色は多い下毛のせいで、黒というよりは灰色に見えた。」

このコメントから、当時のドーベルマンを想像してほしい。

f:id:unicon3618:20160317155854j:plain

1806年、フランスとロシアの戦争でナポレオン軍が勝利を収め、数年間南ドイツに駐留していた。その時に従軍していた犬がBeauceron of France(以下ボースロン)。この際、地元の犬と交配した可能性が強い。そこで生まれた犬が、この地方で牛追いに使われるようになったと考えられている。ボースロンは、ドーベルマンとよく似た頭の形、性格、大きさである。黒色にタンという毛色もドーベルマンによく似ている。

1933年、ドーベルマン・クラブでは、起源について調査を行った。結果、ジャーマン・ピンシャーが主な祖先だと決めた。

以上のことから、ドーベルマンの基礎となったのは、南ドイツ・チューリンゲン地方の牧畜犬とジャーマン・ピンシャーだと考えられる。それに加えて、体形の改良、好ましい性格づくりのために種々の犬種が改良に使われた。たとえば、体を大きくしながら俊敏さを求めるのに、グレイハウンドの血液をミックスし、勇猛な性格づくりのためにマンチェスター・テリアが使われるなど、個々の改良が行われた。その他、シェパード犬、ロットワイラー、ブラック・アンド・タン・テリア、グレート・デン、セッター、ポインター、ワイマラナー、ダックスフントなどなど、多くの犬種が挙げられる。

f:id:unicon3618:20160317161324j:plain

ドーベルマンのマッチョな先祖たち】

ドーベルマンには各犬種の血が入っている。ドーベルマンは、比較的歴史の浅い犬種だということがわかりました。成り立ちを調べると、何だかマッチョな犬の関わりが深いようです。

f:id:unicon3618:20160317161936j:plain

☆基礎犬⇒ジャーマン・ピンシャー


◎南ドイツ・チューリンゲン地方の牧畜犬⇒現存していない。ボースロンの血を引いていると思われる。

マンチェスター・テリア

◎グレイハウンド

●シェパード犬

ロットワイラー

●ブラック・アンド・タン・テリア(現存していない犬種)

●グレート・デン

●セッター

ポインター

●ワイマラナー

ダックスフント

f:id:unicon3618:20160317162542j:plain

ドーベルマンのスタンダードは、国内外の各犬種団体によって多少の変化があるものの、おおむね「筋肉質で中型、スクエアな構成」と記載されています。

ここでは、ドイツ・ドーベルマン・クラブおよびFCI、IDC(インターナショナル・ドーベルマン・クラブ)の標準書に基づいてドーベルマンのスタンダードを紹介します。

f:id:unicon3618:20160317164402j:plain

【耳】高位に付け根を有する耳は直立して維持され、かつ頭部に比例した長さに断耳されている。国で断耳が禁止されている場合は、未断耳でも同様に承認される(ただし耳は中ぐらいの大きさで、前縁が頬に接していることが望ましい)。

【目】中くらいの大きさでアーモンド型。色は暗色。被毛が赤色の場合は幾分明るい色が許容される。

【頭部・上顎部】強固にして体構に調和していること。上方から見ると、くさび形に見える。前から見た際に頭部側面はえらの張った印象を与えてはならない。

【ストップ】額段は浅いが、明確に認知できるように構成されている。

【顎部】脚体と頭部に比例した品位ある長さ。輪郭ラインは上がり勾配で、適度に円弧を描いている。

【キ甲】特に雄では高さと長さが顕著でなければならず、これによって尻から上がり勾配をなす背線経過を決定する。

【鼻】幅広い鼻鏡はよく構成され、全体的に見れば顕著ではないが大きな開口を有す。鼻鏡の色は被毛が黒色の場合は黒、被毛が赤色の場合はより明るい色調。

【口・顎】口吻は上頭部に対して正しく比例し、かつ強固に発達している。口唇は口裂の緊密な吻合を保証する。口唇の色素沈着は暗色、被毛が赤色の場合は幾分明るくなる。強固で幅広の顎で、鋏状咬合を持つ。

【胸部】胸長と胸深は体長に対して適性比率でなければならず、しかも胸深は軽度に湾曲した肋骨によって体高(キ甲の高さ)のほぼ1/2に達していなければならない。前胸は十分な幅があり、前方に向かって充実した発達を示す。

【背部】良好に発達した筋肉で覆われ、短く強固である。雌は乳首のためのスペースを必要とするのでら腰部は幾分長くてもよい。
【尻部】適度に丸みを帯び、水平でも斜めでもない。

【腹部】胸骨端部から骨盤に向かって腹腔は明瞭に巻き上がっている。
【四肢】前肢はいかなる角度からでもほぼ真っ直ぐ(地面に対して垂直)であり、堅固に維持されている。指部・趾部は指は短く、爪は黒色である。
【尾】高位に付け根を有し、かつ短く断尾されており、その場合、尾椎2個は明瞭に維持されている。

f:id:unicon3618:20160317171814j:plain

ドーベルマンは伴侶犬、防衛犬、使役犬として、また家庭犬としても特に適していなければならない。

●一般的外貌

ドーベルマンは強靭にして筋肉質の中型の体躯構成である。その体形の優雅なライン、頭部を高く保持した誇らしげな姿勢は、「犬版のサラブレッド」「ギリシャの彫刻像」とも表現されるほど洗練された優雅さに溢れている。

●プロポーション

ドーベルマンの体構はほぼ正方形をなし、このことは雄犬について特に当てはまる。体長(肋骨から挫骨突起まで)はキ甲の高さ(体高)を雄では5%、雌では10%以上オーバーしてはならない。

●本質

ドーベルマンの基本的気質は、親しみがあり穏やかで、家庭では極めて従順で子供好きである。ドーベルマンには程よい気質と適度の鋭敏さ、中位の刺激が要求される。服従心と作業意欲に優れているとともに、防衛本能、闘争本能、勇気および硬性に注意が払わなければならない。自信につながる確固性、恐れを知らない剛胆さ、また、周辺外界に対する適性な注意深さには特に重きがおかれる。

ドーベルマンの歩様について

歩様は作業性能にとっても特に重要なもの。足運びは伸展性がよく、優雅で自由闊達な印象になる。

前肢はできるだけ歩幅が広く踏み出し、後肢は踏み込みが広く弾力があり、前肢に必要な推進力を与えなければならない。

ドーベルマンは、対角線状の前肢と後肢を同時に踏み出す形となる。

f:id:unicon3618:20160317195006j:plain